公開日 : 2024年12月24日(火)

最終更新日 : 2024年12月24日(火)

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注文住宅に電気自動車のコンセントは必要なのか?設置するメリット・注意点

注文住宅を建てる際、電気自動車(EV)のコンセント設置を検討する方がいらっしゃいます。
自宅に設置することで効率よく簡単に充電できるうえ、コストが抑えられるでしょう。
また電気自動車を持っていなくても、将来を見据えて設置を検討するのも大変良い方法です。
電気自動車(EV)用のコンセントを設置するメリットや注意点について解説します。

電気自動車(EV)のコンセントは必要?

現在電気自動車を所持していなくても、将来を見据えて電気自動車(EV)コンセントを設置できます。

昨今では電気自動車(EV)の普及が進む中、2030年代には新車販売のすべてが電動車になる可能性が高いとされています。
このため、今後の車の買い替えに備えてEVコンセントの設置は賢明な選択といえるでしょう。

新築時にEVコンセントを設置することで、工事費用が安く抑えられます。
新築時であれば、配線や設備の取り付けが容易なため1万円~4万円程度で済むことがほとんどです。
一方で後から設置する場合は、6万円~10万円かかることがあります。

また新築時にはデザインを考慮した設置が可能であり、後付けではスペースや外構の制約から設置が難しい場合もあるでしょう。

よって注文住宅を建てる際に、早めにEVコンセントを設置することは将来の利便性やコスト削減に大きく貢献するといえます。

電気自動車(EV)コンセントとは?

電気自動車(EV)コンセントは、電気自動車の充電をするために必要なコンセントで、接続することで自動車に必要な電気を充電します。

 

充電する仕組み

EVコンセントは、主に「普通充電」と「急速充電」の2つの方法に分かれます。
普通充電は、家庭用の100Vまたは200Vのコンセントを使用し、車両に付属する車載充電ケーブルを介して充電されます。充電には数時間かかりますが、設置コストが低く家庭での利用に適しているでしょう。

一方で急速充電は公共施設や高速道路のサービスエリアに設置された専用の急速充電器などがあります。
急速充電器は通常50kW以上の出力を持ち、交流を直流に変換して直接バッテリーに供給します。
このため短時間での充電が可能で、たとえば30分で80%まで充電できることもあります。

EVコンセントでの充電は、利用シーンや必要な充電速度に応じて充電する形態を決めているのです。

 

使用スタイルの種類

EVコンセントの使用スタイルには、主に下記3つのタイプがあります。

・壁面取り付け型
・スタンド型
・V2H機器

 

壁面取り付け型は建物の外壁に直接取り付けるスタイルで、設置スペースを取らずデザイン性に優れています。
駐車場と建物が近い場合に適しており、設置費用も比較的安価です。

スタンド型は独立した縦長の充電設備で、駐車場と建物の距離が離れている場合に適しているでしょう。
商業施設や公共施設でもよく見られ、自宅用としても設置できます。
車載充電ケーブルを使用するタイプと、本体に充電ケーブルを備えたタイプの2通りがあります。

 

V2H機器(Vehicle to Home)は、タンク内に蓄えられた電力を自動車含め家庭内で使用できる機器です。
災害非常時の電源としても利用でき、充電時間を短縮できるメリットがありますが、設置費用が高い傾向にあります。

 

設置する場所

自宅にEVコンセントを設置する際は、充電ケーブルが車両の充電口に届くように、駐車スペースの近くに設置することが基本です。
特に戸建て住宅では外壁やカーポートの近くが理想的でしょう。

さらに200Vの電源が必要なため、分電盤からの距離や配線の取り回しも考慮しなければなりません。
設置工事は専門的な知識が必要で、「第二種電気工事士」以上の資格を持つ業者に依頼することが法律で定められています。
DIYのように自身で設置できないため注意が必要です。

また屋外に設置する場合は、防水対策や盗電防止策も重要です。
たとえば高めの位置に設置し、水はねによる漏電を防ぐことや、鍵付きカバーを使用して不正使用を防ぐことが推奨されます。

 

電気自動車(EV)コンセントを設置するメリット

注文住宅に電気自動車(EV)コンセントを設置するメリットとして自動車が自宅で充電できるほかに、新築時から設置することで工事費用が安くなるなどが挙げられます。
電気自動車を所持していなくても、設置するメリットについて解説します。

 

工事費用が安い

注文住宅を建てる際にEVコンセントを設置すれば、後付けするよりも工事費用を抑えられます。
新築時に設置する場合、設計段階から配線や設備を組み込めるため、後から設置するよりも手間が少ないのです。
具体的には、新築時の設置費用なら1万円~4万円程度で済むことがほとんどですが、後付けの場合は6万円~10万円かかることがあります。

日本ではEVコンセント設置に対する補助金制度が整備されており、国や自治体からの支援を受けることで、初期投資をさらに大幅に抑えられるでしょう。
特に充電インフラ補助金を活用すると、設置費用の一部または全額が補助されることがあります。

 

自宅で電気自動車の充電ができる

EVコンセントを設置すれば、自宅で効率よく電気自動車(EV)が充電できます。
新築時に設置すれば、工事費用を抑えられるうえ配線も壁の中へ通せるためスムーズです。
自宅での充電は、公共の充電ステーションを利用するよりもコストが抑えられ、利便性も高まります。

夜間や駐車中に充電を行うことで、日常生活に支障をきたすことなく充電できるでしょう。
将来的に電気自動車を購入する予定があるなら、なお新築時に設置しておくことをおすすめします。

 

自動車以外も充電できる

注文住宅にEVコンセントを設置することで、自動車以外の機器も充電可能です。
EVコンセントは通常200Vの電圧を供給するため、高圧洗浄機や電動工具、防犯カメラなど野外で使用する機器も充電できます。
また分電盤の設定によってはEVコンセントを家庭用の100Vコンセントとして切り替えられるため、日常的な家電製品の使用にも便利です。

EVコンセントは多用途に活用できるため、将来的に電気自動車を購入する予定がなくても、他の用途で役立つ可能性があります。

電気自動車(EV)コンセントを設置する際の注意点

注文住宅を建てる際に電気自動車(EV)コンセントを設置すると、メリットが多い分いくつか注意点があります。
適切に設置し、利便性が高い注文住宅にしましょう。

 

設置する高さ

注文住宅におけるEVコンセントの設置は、地面からおよそ90~120cmが推奨されています。
この高さは充電ケーブルの取り扱いが容易であり、車両との接続がスムーズに行える高さであるとされています。
また水はねによる漏電のリスクを軽減するためにも適した高さであるといえるでしょう。

特に屋外での使用を考慮する場合、雨水や雪の影響を受けにくい位置への設置することが重要です。
さらに盗電防止策として、コンセントを高めの位置に設置し、室内からスイッチで操作できるようにすることも推奨されています。

地域によっては、積雪の影響を考慮して設置高さを調整する必要があり、例えば北海道や東北地方では、より高い位置での設置が望ましいでしょう。

 

盗電防止策が必要

注文住宅にEVコンセントを設置する際は、盗電防止策が必須です。
特に屋外に設置する場合は下記の対策を施しましょう。

・ロック機能付きの充電コンセントを導入する
・専用の充電ケーブルにロックをかける
・監視カメラやモーションセンサーの設置
・電力モニタリングシステムを導入する
・コンセントに使用時間制限が設けられる

 

ロック機能付きの充電コンセントを導入することで、所有者以外による充電器を使用が防げます。
一般的には充電時にのみ電力を供給する仕組みで、キーやパスコードでロックを解除するタイプがあります。

 

次に専用の充電ケーブルロックを使用しましょう。
充電ケーブルを本体にしっかり固定し、簡単には抜けないようにすることで、第三者による不正使用を阻止できます。
物理的なロックは、特に車庫のない駐車場での盗電防止に役立つでしょう。

近くに監視カメラやモーションセンサーを設置します。
監視デバイスは、駐車スペースでの不審な動きを監視し、盗電行為を抑止する効果があります。
万が一盗電が発生した場合でも、映像が証拠として残るため、後の対応がスムーズです。

電力モニタリングシステムは、不正な電力使用をリアルタイムで監視でき、異常な使用量が検出された場合に検知するよう設定できます。

 

またコンセントに時間制限を設けることで、特定の時間帯のみ使用できます。
夜間などの非使用時には電力供給を制限し、盗電リスクを軽減できるでしょう。

 

設置後は電力会社への届け出が必要

注文住宅にEVコンセントを設置する際には、電力会社への届け出が必要です。
EVコンセントの設置により使用する電力の容量が増加するため、電力会社との契約内容を見直す必要があるからです。

通常EVコンセントは200Vの電源を使用し、充電時には一定の電流が流れます。
たとえば、200V15Aのコンセントを使用する場合、15Aの電流が流れるため少なくとも40A以上の契約が必要でしょう。
設置前に電力会社に連絡し、必要な契約容量を確認し、変更手続きを行う必要があります。

またEVコンセントの設置に伴い、分電盤や配線の工事が必要な場合があります。
専門の業者へ手配する必要があるため、電気工事士に依頼し、適切な契約内容に更新する必要があるでしょう。

まとめ

電気自動車(EV)コンセントは、電気自動車を所持している、あるいはこれから購入する予定がある人にとっては、非常に利便性が高い設備です。
また電気自動車を今のところは購入予定がなくとも、野外の家電製品や家庭の電気として利用できるため、後付けして損はありません。

大阪府の工務店「森下技建」では、EVコンセントの設置を踏まえた施工経験が豊富にあります。
検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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