
注文住宅で、建築費用を少しでもおさえたいと思う人もいるでしょう。
その中でコストパフォーマンスの高さから注目されているのが総二階という建築形態です。総二階は建物の1階部分と2階部分を同じ形状で重ねる構造で、施工効率が良く耐震性にも優れています。
一方で、外観が単調になりやすいと感じる人もおり、採用に踏み切れないケースもあります。この記事では総二階の特徴、メリット、デメリット、外観の工夫などについて解説し、価格と見た目の両立を目指した家づくりの方法を紹介します。
目次
総二階とは?
総二階は、1階部分と2階部分がほぼ同じ形状で構成された建築形態を指します。外周ラインが一致するため、構造がシンプルで耐震性にも優れ、コスト面でも有利です。採用前に基本構造を理解することで判断材料になるでしょう。
総二階の構造
総二階の構造は、1階部分と2階部分が同一形状で重なる点が大きな特徴です。
外壁ラインや基礎、屋根が効率的にまとめられるため、躯体が強固になり、施工効率も高まります。また、上下の壁位置が一致しやすく、荷重の伝達経路が明確になるため耐震性の向上にもつながります。
外形が整っているため、建築計画や資材の無駄を減らしやすい構造でもあるのです。建築の基本を押さえたい人にとってわかりやすく、総二階がコストパフォーマンスに優れた構造と言われる理由です。
総二階と部分二階の違い
総二階は1階と2階の面積や形状が一致している建物ですが、部分二階は1階の一部のみが2階として乗る形状を指します。
部分二階では吹き抜けやビルトインガレージ、凹凸のある外観などを設計しやすい反面、構造が複雑になりやすく基礎や屋根面積が増えるため、コストが上昇する傾向があります。
一方、総二階は上下の壁や柱が揃いやすいため耐震性が高まり、工事全体の効率が良い特徴があります。外観や内部空間の自由度を求めるか、コストと耐震性を重視するかで選択が変わります。
総二階のメリット

総二階は建築費用が抑えられる、耐震性が高い、間取りを整えやすいなど、注文住宅において実利的なメリットがあります。見た目の好みだけで判断するのではなく、構造面や予算面での強みを理解することで、家づくりの選択肢が広がります。建物自体や、住んだときに感じやすい総二階のメリットを紹介します。
建築コストがおさえられる
総二階は、基礎部分と屋根部分の面積が最小限で済むため、部分二階や複雑な形状の住宅と比較して材料費や施工費が抑えられます。外壁ラインがそろうことで施工効率も上がり、無駄な手間が減る点もコストが低い理由のひとつです。さらに足場の設置や外壁仕上げなどの工程もシンプルになり、総工期の短縮にもつながる可能性があります。建築予算を重視する家庭にとって、総二階は現実的な選択肢といえるでしょう。
耐震性がある
総二階は上下階の壁や柱の位置が揃いやすく、地震の揺れを効率的に建物全体へ分散させる構造です。壁量バランスが良く、耐力壁の配置も計画しやすいため、耐震等級の取得もスムーズです。形状に凹凸が少ないことで偏心が起こりにくく、地震時のねじれにも強くなります。地震が多い地域における耐震性能を確保するうえで有利な建築形態といえます。
間取りの自由度が高い
総二階は構造が整うため、上下階の動線や間取りをシンプルにまとめやすい特徴があります。1階に水回りやLDK、2階に個室や家族スペースといった生活動線を整理した配置がしやすいです。さらに、外周ラインが揃うことで収納や階段配置を効率化でき、家事動線の改善も期待できます。整形の間取りは家具配置も行いやすく、暮らしやすさの確保につながります。
総二階のデメリット
総二階はコストや耐震面で優れた建築形態ですが、デザイン面や土地条件によっては不向きになる場合があります。特に外観の印象や窓配置の制約が気になる人は少なくありません。また、四角い外形が前提となるため、狭小地や変形地では採用しづらいケースもあります。建てた人が感じやすい、総二階の採用前に知っておきたいデメリットを紹介します。
のっぺりした外観になりやすい
総二階は外壁ラインがそろう構造のため、凹凸や奥行きが少なく、外観が単調に見える傾向があります。特に外壁の装飾を行わない場合、箱型の印象が強くなり、いわゆる“のっぺりした見た目”と感じられることがあるでしょう。デザインに立体感や陰影をつけにくい点が課題のひとつです。ただし、外壁材の組み合わせや窓のサイズ、位置、カラーリングの工夫によって印象を大きく改善することも可能なため、設計段階で対策することが重要です。
窓配置の自由度が下がりやすい
総二階は上下階の壁位置が揃う構造のため、耐力壁のバランスを崩さないように窓位置を検討する必要があります。そのため、窓の大きさや配置の自由度が部分二階や複雑な外形の住宅よりも制限されやすくなります。採光や通風を確保する際も耐震性とのバランスを考慮する必要があります。しかし制約がある反面、窓のデザインや配置を意識的に設計することで外観の整った印象につながる場合もあります。
デザインに変化や遊びを感じにくい
総二階は整形で安定した外形を持つため、複雑な立体デザインや造形的な遊びを取り入れにくい建築形態です。ビルトインガレージ、跳ね出しバルコニー、吹き抜けの大開口など、変化を生む要素は部分二階のほうが採用しやすい傾向があります。そのためデザイン的な動きを求める場合、物足りなさを感じる可能性があります。ただし、素材感、配色、窓の配置、植栽との組み合わせなどで建物に個性を付けることは十分可能です。
土地の形状によっては相性が悪い場合がある
総二階は整形の外形を前提とするため、旗竿地や三角地、狭小地など変形した土地とは相性が悪い場合があります。敷地形状によっては建物をコンパクトに絞ったり、部分的なセットバックを設けたりする必要があり、結果的に総二階のメリットが活かしにくくなります。土地の形状を踏まえた配置計画や車の動線、隣地との距離の確保が必要となるため、実質的に部分二階が適したケースもあります。土地状況に合わせて柔軟に判断することが重要です。
総二階の“のっぺりな外観問題”の原因と対策法
総二階は構造上の合理性が強みですが、外観が単調に見える点がデメリットとして挙げられます。のっぺり感の正体は設計上の要素にあり、原因を理解すれば、印象を大きく変えられます。のっぺりとした外観に陥りやすい代表的な原因と、具体的な対策を解説します。
外壁に凹凸が少ない
総二階は上下階の形状が一致するため、外壁ラインが一直線に揃うケースが多く、凹凸の少ない平面的な外観になりやすい特徴があります。立体的な奥行きが生まれにくいことで影が落ちず、のっぺりした印象につながります。
対策としては、玄関まわりに袖壁や庇を設ける、バルコニーを組み込む、外壁の一部に素材や色を切り替えるなど、視覚的な段差を計画的に作る方法が有効です。凹凸をつくる要素は小さな面積でも効果が大きく、外観デザインの印象改善に役立ちます。
窓のサイズと配置のバランスが不足している
総二階では構造の制約から窓配置が規則的になりやすく、上下左右が整列しすぎることで無機質な印象を与えます。また、大きすぎる窓や小窓ばかり配置した場合も外観のバランスが崩れ、のっぺりとした単調さが強調されるでしょう。
採光や通風を確保しながら外観の表情を作るためには、窓のサイズ、縦横の比率、配置のリズムを整えることが重要です。FIX窓と縦滑り窓、横長窓を組み合わせるなど、窓の種類を工夫すると建物に立体感と動きが出るでしょう。
外壁が単一素材・単一カラーになりやすい
外壁を一色かつ単一の素材で仕上げると、建物全体のディテールがぼやけ、のっぺりとした質感を強めます。特にフラットな塗装仕上げを全面採用した場合は影が付きづらく、奥行き不足が際立つ傾向があります。
対策としては、上下階や縦ラインで外壁を張り分ける、異なる素材を部分的に採用する、濃淡の差をつけて陰影を強調するといった方法があります。また木目調、サイディング、タイル調など質感の変化を組み込むことで外観のバリエーションが増え、単調さの解消につながります。
軒や庇が少なく影が不足している
総二階では軒の出を短くしたり、庇を省略したりする設計が選ばれることがありますが、その場合、建物に影が落ちにくくなり、のっぺりとした印象を与える場合があります。建物に適度な影を生むことは立体感をつくるうえで非常に重要です。
対策としては、軒の出を適切に確保する、玄関庇を付ける、窓にシャッターボックスや面格子を組み込むなど動きを生む要素を加えると効果的です。影をデザイン要素として取り入れることで外観全体に深みが生まれ、立体的で締まりのある表情に変わるでしょう。
まとめ
総二階は合理性が高く、建築費用の削減や耐震性の向上につながる優れた建築形態です。しかし、外観が単調に見えやすい点や土地条件との相性など、採用前に知っておきたいポイントもあります。
のっぺり見え問題は素材、窓、色、凹凸、影といったデザイン要素で改善できるため、性能とコスパを両立した家づくりができるでしょう。総二階を検討する際は、構造とデザインのバランスを意識し、自分たちの暮らし方や敷地条件に合う形で最適化しましょう。
大阪府羽曳野市にある「森下技建」では、総二階のメリットを生かした、理想の注文住宅の実現に向けて、ていねいにコンサルタントします。ぜひ当店の施工事例をご覧いただいたうえで、お気軽にご相談ください。
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